人生100年時代を豊かに生きるためには

下記 公益財団法人長寿科学振興財団の

健康長寿ネットより引用一部加筆です。

公益財団法人 長寿科学振興財団
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人生100年時代とは

lIFE SHIFTという書籍がベストセラーになり人生100年時代という言葉が認識されだしました。

 厚生労働省が公表している平成30年(2018年)の簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性81.25年、女性87.32年となっています。一方、健康上の問題に制限されることなく日常生活をおくれる期間を示す「健康寿命」は、平成28年(2016年)時の健康寿命は、男性で72.14歳、女性で74.79歳でした。

 また、1980年代の平均寿命を見てみると、男性は73歳、女性は79歳と現在よりも7~8歳、寿命は短かったのです。約30年の間に、平均寿命は7~8歳も延びていることから、この先30年、40年後には100歳まで生きられる時代、つまり人生100年時代が当たり前になると考えられます。

人生100年時代を豊かに生きる人生設計

 人生100年時代がやってくるにあたり、その100年時代をどうやって豊かに生きていくのか、その人生設計が重要となります。生涯現役を貫きたい、趣味の時間を充実させたいなど様々な考えがあるのではないでしょうか。

 例えば、日本の高齢者の就業率を見てみると、男性が30.3%、女性が15.0%となっています。このうち、65~69歳の就業率は男性が52.2%、女性が31.6%と年々上昇しており、世界のトップとなっています。働き方としてはパートやアルバイトが多く、全体の約50%を占めています(グラフ)1)

グラフ:高齢者の雇用形態を示す円グラフ。高齢者の就業者の半数はパートやアルバイトであることを示す
グラフ:平成29年(4月~6月)役員を除く高齢者の雇用形態1)より作図

 働く理由としては、今までのように金銭面を気にして働くのではなく、社会参加として好きな時間に働くためであったり、自分の持っている専門的な知識や技術を活かしたいと考えて働く人が多くいます。

 また、高齢者の趣味の活動を見てみると、2人以上の世帯の国内外の旅行費、いわゆる「パック旅行」の年間総支出額は、65歳以上の高齢者が各年代の中で圧倒的にトップとなっています。さらに、園芸用植物、園芸用品やカルチャースクール等の月謝などを含む「教養的月謝」も、高齢者世帯の支出金額が最も高くなっており、趣味を充実させている高齢者が多いことが分かります2)

 これらのことから、人生100年時代に向け、趣味や就業といった様々な形の人生設計を行っている高齢者が多いことが分かります。こうした活動は、充実した100年時代を生きるために、高齢者に求められていることなのかもしれません。

人生100年時代の課題

 充実した人生100年時代の人生設計をするためには、大きな課題があると考えられます。それは、健康とお金ではないでしょうか。

 高齢者の収入源を見てみると、内閣府発表の平成28年度版高齢社会白書によると総所得の67.6%が公的年金と恩給、18.3%が稼働所得となっております3)。若いうちに頑張って働いてきた分の見返りだけでなく老後の社会参加をもすることで、十分な所得を得られるということが分かります。高齢者の世帯では、他の年齢階級に比べて大きな純貯蓄を有しており、その主たる目的は介護や病気への備えとしています。

 一方、現在の高齢者の有訴者率を見てみると、人口1,000人当たり466.1であり、将来的に、この数値は増えるものと見込まれています3)

 つまり、金銭的な備えをしっかりと行い、健康を維持、増進することで、有意義な100年時代が送れるということであり、この2点をどこまで自分のものにできるかが、大きな課題となることが考えられます。※有訴者率:有訴者率とは人口1,000人当たりの「ここ数日、病気やけが等で自覚症状のある者(入院者を除く)」の数のことを指します。

プロダクティブエイジング

 プロダクティブエイジングとは、アメリカの老年学の権威であるロバート・バトラー(Butler, R. N.) が1975年に提唱したもので、高齢者に自立を求めるとともに、更にさまざまな生産的なものに寄与するために、積極的な社会参加が必要であるという意味が含まれている考え方です。

 高齢期に入り、仕事や子育て等の義務的な労務から解放され、これからの人生を有意義に過ごすに当たり、自らの老いへのあり方やライフスタイルは、人によって異なります。社会参加についても、趣味や余暇活動、ボランティア、仕事、学習など、多岐にわたることでしょう。

 しかし、21世紀の高齢社会では、従来の社会参加と異なり、積極的な意味づけが要求され、生き方のニーズを考えていくことが求められます。例えば、趣味や余暇活動は、暮らしの中で感動や生きがいを得るために行われますが、その打ち込む態度によっては、単なる気晴らしや時間つぶしになってしまい、生き方の再構築や社会参画にはつながりません。これはボランティア活動においても同様で、友人や知人の真似をして参加するボランティアでは、逆効果になりかねません。

 21世紀の高齢者は、自分の生き方や方向性、住む場所、活躍の仕方、楽しみ方等々、幅広い選択肢が用意されています。一人ひとりの生き方におけるニーズを考え、これまでの経験をもとに、自己決定、自己実現していくことは、プロダクティブに生きていくということに結びつくものと考えられます。

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